縒りをもとに戻したら | コットンにまつわる短い余計な話 p.2

縒りをもとに戻したら

繊維に縒りをかけていくことで糸ができる。
縒り合った糸をもとに戻せば糸は離れ離れになり切れてしまう。糸を紡ぐことにとっては縒りをもどさないほうがよいはずだと思った。糸を紡ぎながら考えていると、なぜ「よりを戻す=元に戻る」と良いことになるんだろうかと不思議に感じてくるのだった。

たくさん縒れば強い糸ができるきがして、たくさん撚った。糸を紡いでみると、縒りをかけるにも良い加減がある事を知る。

縒り過ぎてもダメなのだと知る。
うまく糸にはならない。縒り過ぎて絡まり過ぎた繊維は、カチカチに固まり引くこともできない。そんな時は縒りを少し逆に戻すと、繊維同士の絡まりが良い頃合いに戻り引けるようになる。
しかしやはり戻し過ぎるとほどけてしまい、これが縒りを戻すとなるのか、と妙に感じることになるのだ。糸紡ぎにおいては縒りが戻ってしまうと悲しい気持ちになる。

糸紡ぎをしながら
「縒りを戻す」が頭の中を駆け巡るのでした。

絵・文=気まぐれ中の人